この世界は誰が創造したのか【シミュレーション仮説入門】(冨島佑允 著)を読んだ感想メモ

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「私たちは、何者かによって作られたコンピューター・シミュレーションの世界に生きているのではないか?」

この説を、世界の偉い人たちが本気でまじめに科学的・哲学的に考えているテーマが「シミュレーション仮説」です。

この本「この世界は誰が創造したのか(著・冨島佑允)」はシミュレーション仮説の日本初の入門書で、仮説の第一人者であるオックスフォード大学のニック・ボストロム教授の論文をベースに、物理学・生物学など多数のなんたら学からの説明でもって、シミュレーション仮説の否定がいかに難しいかが書かれています。

否定が難しい、つまりこの世界はほぼ100%シミュレーション世界だという嘘のようなまじめな話を解説した本なわけです。

僕は量子力学や脳科学のこと言われてもサッパリ分からないのですが、著者である冨島佑允氏の説明がとにかくやさしい上に、マクロ・ミクロな視点で壮大なイメージを感じ、なんだか偉い人たちの考えていることが同じように分かった気になって読み進めるのが単純に楽しい本でした。

難しい数式なんて出てきません、中学生くらいが夏休みに読むことも想定されているレベルかと思います。

本を読んで何ができるかなんてないのです。あったのは「世界でいま何が解明されていて、何が解明されていないか。解明されていない理由を紐づけたらシミュレーションかもね」です。面白かったという言葉以外で、感想を書けるほど理解していない、内容の真偽判定もできないものですから、気になった用語で調べたことのまとめや面白かった視点などを書き残します。

シミュレーション仮説と言えばニック・ボストロム教授

前述のとおり、この世界は誰が創造したのか【シミュレーション仮説入門】は、ニック・ボストロム教授の発表した2003年の論文をベースに語られます。

アブストラクト

Are You Living In a Computer Simulation?

I argue that at least one of the following propositions is true: (1) the human species is very likely to become extinct before reaching a ‘posthuman’ stage; (2) any posthuman civilization is extremely unlikely to run a significant number of simulations of its evolutionary history (or variations thereof); (3) we are almost certainly living in a computer simulation. It follows that the belief that there is a significant chance that we shall one day become posthumans who run ancestor‐simulations is false, unless we are currently living in a simulation. I discuss some consequences of this result.

ボストロム教授について

ニック・ボストロム(瑞: Niklas Boström、英: Nick Bostrom、1973年3月10日 - )はスウェーデン人の哲学者であり、オックスフォード大学教授。人間原理に関する業績で知られる。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスで2000年に博士号を取得。

Wikipedia: ニック・ボストロム教授

TEDトークもあります。2015年「人工知能が人間より高い知性を持つようになったとき何が起きるか?

直近は、ニューヨークタイムズが「シミュレーションは危険だから実行しないで」と記事をアップ → Are We Living in a Computer Simulation? Let’s Not Find Out

WIREDでも「黒いボール」を引くことについて語っています。黒いボールを取り出さないための4つの方法 → 文明を滅ぼす「黒いボール」を、わたしたちはどう止めるのか:ニック・ボストロム

著書:スーパーインテリジェンス 超絶AIと人類の命運

イーロンマスク氏、BMIで臨床実験予定

ちなみにシミュレーション仮説に賛同しているのがテスラのイーロンマスク氏だったりします。

氏は、Neuralink(ニューラリンク)により、BMI(Brain Machine Interface)を作ると発表しています。人の脳と人口デバイスを接続するためのインターフェースです。ヒトでの臨床実験も数年内に予定されています。

シミュレーション仮説について

シミュレーション仮説の分かりやすい2つのイメージ

1.映画マトリックスの世界

マトリックス (字幕版)

2.水槽の脳

水槽の脳(すいそうののう、brain in a vat)とは、「あなたが体験しているこの世界は、実は水槽に浮かんだ脳が見ている夢なのではないか」、という仮説。哲学の世界で多用される懐疑主義的な思考実験で、1982年哲学者ヒラリー・パトナムによって定式化された。正しい知識とは何か、意識とはいったい何なのか、といった問題、そして言葉の意味や事物の実在性といった問題を議論する際に使用される。水槽の中の脳、培養槽に浮かぶ脳、桶(おけ)の中の脳、水槽脳仮説などと訳される。

Wikipedia: 水槽の脳

少し前のSF映画が近づいてきたイメージです。

第一歩「線虫 C.エレガンス(C. elegans)を使ったシミュレーション実験」

カリフォルニア大学のスティーブン・ラーソンは「C.エレガンス」という長さ1mmほどの線虫の一種を、細胞レベルでコンピューター・シミュレーションする研究に取り組んでいます。
ー中略ー
このプロジェクトが成功すれば、コンピューターの中のデジタル線虫は、本物と同じようにエサを探し、排泄し、子孫を増やしていくはずです。

p27-28 序章から引用

人間でシミュレーションするのは無理だけど、線虫ならいけるかもしれない。神経細胞が人間より少なく単純構成、仕組みは共通。だからコンピューターで作ってシミュレーションできるという流れ

これ面白いと思って、ネタ元調べました。「オープンワーム プロジェクト」だと思われます。

オープンワームプロジェクト

http://openworm.org/

ゴルディロックス・エニグマはちょうどよい世界

とくに物理学の世界では、自然界の法則があまりにうまくできすぎていることが、大きな謎として長年論じられてきました。そういった不思議を、物理学会では「ゴルディロックス・エニグマ」と呼んでいます。

p063 宇宙は精密機械のようにファイン・チューニングされている?

ちょうどよい状態を指す言葉が「ゴルディロックス」

世界の物理法則は、まるで誰かに微調整されたかのように、人間や生物にとって「ちょうどよい」ものになっている。だけど、なぜ「ちょうどよい」のかは解明されていない。

本では次のような例でもってゴルディロックス・エニグマが説明されています。

  • 太陽が生命を育めるのは、「ちょうどよい」重力のおかげ
  • 太陽系が存在できるのは3次元空間だけ?
  • 生物の材料はどうやってできたか
  • トリプルアルファ反応
  • 「鞭毛」の進化説明できなすぎヤバイ

小難しそうなのに、この章が分かりやすく特に面白かった。ので、もう少し詳しく調べました。

ちょうどよい:ゴルディロックスの原理

物理学では、ゴルディロックス・エニグマ(ちょうどよい・なぞ)と呼ぶ。その元の元の大本「The goldilocks Enigma」

イギリスの物理学者ポールデイヴィスの著書です

The goldilocks Enigma は、日本では「幸運な宇宙」というタイトルで発売しています。

この世界は誰が創造したのか【シミュレーション仮説入門】では、以下の本がゴルディロックス・エニグマ全般に関する書籍として紹介されていました。

知のトレッキング叢書 宇宙はなぜこんなにうまくできているのか

宇宙はなぜこんなにうまくできているのか – 2012/1/26

宇宙はなぜこのような宇宙なのか――人間原理と宇宙論 (講談社現代新書)

宇宙はなぜこのような宇宙なのか――人間原理と宇宙論 – 2013/7/18

宇宙を支配する6つの数 (サイエンス・マスターズ)

宇宙を支配する6つの数  – 2001/9/1

ホーキング、宇宙と人間を語る

ホーキング、宇宙と人間を語る – 2010/12/16

ゴルディロックス・エニグマについては他の例も知りたいなぁと思いつつ、歴史上に突然出て来たかのようなシュメール人や、よくわかっていないオーパーツなどを思いだしたのもあって、「誰も分からない」が分かるのが面白いポイントなのだと思います。

「偶然すぎて分からない」=「誰かの干渉を受けた」が否定できないのです。

ポストヒューマン以降はもっと面白い

書籍ではゴルディロックス・エニグマ以降から「ポストヒューマン」の概念が登場し

  • ポストヒューマンの目的
  • 心の感覚を科学的に再現する
  • 宗教観とあの世の存在
  • シミュレーションで何ができるか

など、文字に起こして余計にトンデモ話に聞こえてくるようなテーマが次々に飛んできます。

感想まとめ

  • シミュレーション仮説は偉い人がまじめに議論している
  • 実際に研究が走り始めている(イーロンマスク・オープンワーム)

トンデモ話に聞こえるけれど、意外とそうじゃないのだよ?という本。

偉い人たちの言葉をガンガンと、よくまあここまで平たく言語化できるなぁと著者に感動しつつ、視点を高く高くしたらここまで行けるのだなぁと終始楽しく読めました(理解したとは言ってない)。実際に研究が走り始めているし、警鐘を鳴らす動きがあるのも個人的に興味深いポイントです。

「この世界は誰が創造したのか」まさにシミュレーション仮説の入門書としてピッタリなのではないでしょうか

今回紹介した本はこちらです。

 

シミュレーション仮説に関係する映画を4つ集めたので是非つぎの記事も一緒にご覧ください。

シミュレーション仮説に関係する映画4選【マトリックスだけじゃない!】

マトリックス4制作決定が嬉しかったので、これから盛り上がるシミュレーション仮説に関係する映画を4つ集めました! シミュレーション仮説、いわゆる「私たちは、何者かによって作られたシミュレーション世界に生 ...

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